8195人が本棚に入れています
本棚に追加
「…った…っ…」
まだまだ暗い明け方、小さな声が目覚ましとなる。
「どこ…?」
「…ぁ…ごめん…」
「ん、動いてどこが痛んだ?」
いつもと同じように俺の腕の中で眠っていた紗栄子だが、痛むところがあるなら強くは抱きしめられない。
「……ぅん…なんか…」
気だるげな声が俺のオレの目覚ましとなるが、痛むところがあるなら強くは抱きしめられない。
「首も…腕も…お腹も背中も全部…痛い…」
「加えられてた力に全身で抵抗してたから筋肉痛状態」
「あ、筋肉痛…そういう痛み…」
「ん、楽な格好になっていいぞ。一日ゴロゴロと休んでいればいい」
紗栄子はモゾッ…モゾモゾッ…俺の緩めた腕の中で体勢の変えてみて…モゾッと腕から上に出て来た。超絶可愛い生き物だ。そして肩甲骨あたりまで枕を当てて
「これがマシ…かな…」
ふーっと息を吐く。全身の筋肉をあり得ないほど緊張させて、最大限の力で抵抗すれば全身筋肉痛も説明がつく。
「少し動く方が…治ると思う…」
「ん」
もう一度眠れそうな紗栄子の思考の邪魔はしない。
「龍之介…」
「ん」
俺の腕は本職の枕によってフリーにされたので紗栄子の手を握り指を絡める。
「俺も休みだ」
「…大丈夫だよ、私…」
「俺が紗栄子とこうしていたい」
「じゃあ…いいか…」
「ん」
「…ぅん…」
またスーッと静かに眠りに落ちていく紗栄子の寝顔を見ながら、俺はすっかり目覚めた俺のオレに今日は耐えろと言い聞かせた。
最初のコメントを投稿しよう!