part 13

10/14
8093人が本棚に入れています
本棚に追加
/317ページ
「紗栄子の物から見る」 「うん…でも…」 「ん?何でも言って大丈夫だ」 「紗栄ちゃん、大崎さんは大丈夫な人だよ」 舞生が後ろから声を飛ばしてくる。 「うん…こういうお店での買い物のやり方がわからない…です…」 「紗栄子様」 「へ…ぇっ…?紗栄子に様…ちょっと…無理っぽいです…」 「紗栄子、慌てんな、大丈夫だ。大崎、俺の紗栄子は様はいらないらしい」 「失礼致しました。紗栄子さんとお呼びしてよろしいでしょうか?」 コクコクコク… 「ありがとうございます。では、紗栄子さん」 「はいっ」 緊張して返事がデカい。でもこれでいい。昨日のことを払拭するくらいの緊張もインパクトも早急に与えた方がいいと思うからな。 「買い物のやり方というのは決まっておりません」 コクン… 「店内を隅から隅まで回って頂き、あれもこれも手に取って頂くのも良し。こちらのソファーにお掛けになって、わたくしにどのような商品をご希望かをお伝え頂くのも良し。ひとつの商品を選んで頂いたあとのコーディネートをお任せ頂くのも良し。それらを組み合わせてご自由にお楽しみ下さいませ」 コクン…?頷いたまま俺を見た紗栄子に 「一緒にゆっくりと見ながら、まず紗栄子が自分でひとつ、俺がひとつ選ぶことから始めようか」 と言うと納得したのか、紗栄子が僅かに表情を緩めた。
/317ページ

最初のコメントを投稿しよう!