part 13

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「選ぶと言っても、紗栄子」 「うん?」 「今のこのカーディガン以上の冬物がないから、このあたり全部買う必要があるんじゃないか?」 「ないのはないね…でも、部屋着なんかはネットのでいいよ」 「ん」 紗栄子の意見も聞きつつ、俺は彼女の頭をポンポンしながら大崎を見る。大崎は小さく頭を下げたあと、さらに後ろに控えるスタッフに何かを指示する。 「これがいいな。どうだ?」 落ち着いた色味のボルドーのワンピース。 「シンプルなニットワンピースで裾の後ろが長く作られております」 「うん、素敵な色だね。大人カラーだ。私はこれかな…」 「どうぞ、ご試着下さいませ」 紗栄子の選んだのは白カーディガンで、今着ているカーディガンを脱いでその場で試着する。 「全てボタンを止めていただくとセーターとしてもお使いいただけるネックラインです」 「それとこれ、もらう」 「ありがとうございます。藤堂樣が黒をお召しになるので、ボルドーとホワイトはどちらも黒に合うお色ですね」 カーディガンとワンピースを手にした大崎の言葉に紗栄子が僅かに照れた。そこへ 「この大きなチェックストールなんかが、シンプルなこちらのワンピースによく合います。もちろんお選び頂いたカーディガンもホワイトですから合いますよ」 大崎がカシミヤストールを広げたので一緒に購入する。 「合う、バッグも見せてくれ」 「かしこまりました」 ここで少し慌て始めた紗栄子に 「紗栄ちゃん、これとこれボクにどっちが似合うと思う?」 舞生がネクタイを2本見せる。 「えっと…えっと…どっちもいいよね…」 「じゃあ、両方買おうっとっ」 「あっ…いいのかな?」 いいんだよ、紗栄子。この感覚をゆっくりと掴め。
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