part 14

2/14
前へ
/317ページ
次へ
だけどそんな事をゆっくりと思ったのは一瞬で 「膝よりも下の長さのロング丈のコートは、重厚感があってフォーマルな印象だけど、着丈が長すぎると野暮ったいからね。サエコにはその膝丈まででいくつか選ぶわ。まずそのブラックは決まりだね、龍之介?」 はまず龍之介を味方につける。 「ん。襟のない方ももらう」 「かしこまりました」 秒でコートが増えたようだ。 「黒もいいが、その柔らかい白も着せてみたい」 「親父、アイボリーだな。いい。紗栄子、着てみろ」 組長と若コンビに言われてアイボリーカラーのコートを着ると、それもお買い上げ。 「そっちのボアコート、ミドル丈の。それもサエコに着せてやって。カジュアルなものも必要だからね」 「あの…コートってこんなに必要ですか…ね?」 「何言ってんだい、サエコ。まだ4着だよ?こんなんじゃ、装いに合わせてコートが選べないじゃないか」 「は……ぁ……?装い…装いの数をコートが上回るんですけど…」 「えぇぇ?そりゃ大変だねぇ。大崎、サエコの上から下までコーディネート、とりあえず10セット作って見せてちょうだい」 「はい、ただいま」 ダメだ…止まらない。ツンツン…龍之介の袖を引っ張り 「豪華10セットより、マンションの部屋で着る物がいるんだけど…」 とこそっと言った。 「ん、あっち」 龍之介に連れられ違うスペースに移動すると、フードの紐にブランドロゴが入ったパーカーなどがたくさん見やすく並べてある。 「これ全部で足りるか?」 「……」 「ん?」 「…足りすぎ…朝昼晩って衣装チェンジできるよ…」
/317ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8212人が本棚に入れています
本棚に追加