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支えられていたまま横向きに抱き上げられたことにも、周りに何人もの人がいたことにも、彼らの返事が聞き慣れない感じだったことにも驚いたが、彼らの動きは実に迅速で
「…あの…どこへ?」
と私が口を開いたのは動き始めた車内でだった。移動する、から1分もかからないうちにすでに車が動いてる。どうなっているのだろうか?
「懇意にしている警察じゃないと面倒だから移動する」
警察と懇意とか懇意じゃないとかって何だろう。
私は横抱きにされたままの体を起こそうとして
「……」
一瞬、腰の辺りに違和感を覚えて動きがスムーズで無くなると、そっと無言で横抱きに戻された。
「心配しなくても場所がここだから大丈夫な警察だろうが」
「一応数人残して様子見させています」
「ん」
助手席からの声に‘ん’と答えた声にやはり聞き覚えがある気もするけれど、記憶が定かではない。
「治療する。電車に乗るつもりだったのか?」
ここで初めてはっきりとバリトンの主を見た…正確には見上げた。
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