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この詩は亡き父へ
青天の霹靂
日常が一変した日から
最期まで
自分らしく生きた大切なひと
見渡せどいない毎日に
4年が経とうとして
月日が経つごとに
たくさん守って愛情をくれて
日常のどこそこにあった
想いにようやく気づかされて
シングルファザーだった父は
三交代をしながら
祖父母の手もかりながらも
日曜日になれば必ず
疲れていても
眠たくても
どこかしらに連れ出してくれた
わたしはどこまでも
ついていくばかりで
山登り、スキー、釣り
高校野球の観戦、夏の海
全てまだ、幼いわたしには
楽しいかと言われたならば
つまらないと
ふてくされた日もあった
それは兄への優しさだと
気づいたのは随分あとのこと
兄はわたしが知る以上に
神経質で怖がりで
兄もまた子どもで
それでも父がいない夜は
わたしと二人一睡も
出来ないくらい
警戒していたらしい
もちろん眠りこけていた
わたしにその姿の記憶はない
そんな兄へ
日曜日くらい子どもらしく
笑って欲しかったのだろう
兄が好きな場所
そこに二人といたくて
後ろからトテトテついていく
それでも二人の真ん中で
わたしは子どもらしく
不機嫌になったり笑ったり
_______
保護者参観に作業着で
ギリギリにくるのが
恥ずかしかった
帰り道は
頑張ったねとか
なに食べに行く?という
保護者とかえる中を
ランドセルをぎゅっと掴んで
下を向いてみないように帰った
寂しくて
わたしも一緒にかえりたくて
一度でいいからと思っていた
言わなかったのは
さすがに察してはいて。
自身が社会にでて初めて知る
休憩時間まえに
ちょっとぬけたりすることは
たくさんのひとに許可がいる
共に働く仲間の理解
上司からの信頼とか
日々の積み重ねがわずかな
保護者参観にはくることを
叶えてくれていたことに
すぐに仕事に戻らなければ
ならないことにも
わがままをいって
困らせなくて良かったなんて
わたしだけの記憶で
きっと表情やなんかに出てたろう
________
保育園の記憶は
曖昧だけれど
卒園式のことは
鮮やかに思い出す
花輪を前々からつくり
卒園式で保護者の首にかける
緊張して人前が苦手で
父のまえにいくときは
両手両足一緒だったかもしれない
「ありがと」小さく呟いて
花輪を頭から通そうかとしたら
ギリギリのサイズであたまが
ひっかかりパニックになった
これは日頃から作製スピードの
遅さとサイズを意識して
なかったのは申し訳ない
花輪が花冠にただ一人
泣きそうなわたしに
「ありがとう」とおっきな声で
なみだ目の父が
あたまをわしゃわしゃなでる
帰りにわたしは
ずっと練習した
逆上がりをみせたら
すごく喜んでいた笑顔は
わたしだけに向けられて
きっと嬉しかったんだと想う
______
書ききれやしないな
どんな日も制服にも
給食袋やエプロンは
いま思うといつも
アイロンがされていた
疲れて帰ってきた日も
してくれていたのだろう
_____
父がある日わかった病から
1年7ヶ月
最期は(継)母の腕のなかだった
いつものあさ
365日スマホを離さずに
その日がきたらと
構えつづけていたのに
その日は家にいなくて
なぜかスマホを手離していた
ただ前日あいたくなって
夜も更けた頃おやすみと
言ったわたしに「またの」と
返した父の姿しかなくて
大量の着信にきづいたのは
二時間もすぎてしまっていた
ただ苦しまず眠るように
母の腕のなかで救急車で
鼓動がとまっても
わたしは勝手におもう
母は新婚旅行の5泊6日しか
父とふたりじゃなくて
ずっと私たちと
家族になろうとしてくれた
だから最期が母の腕のなかなら
それは二人への悲しいけれど
必然なような出来事
始まりと最期はふたりきり
わたしには
またので良かった
また逢えると想えるから
そばにいるんじゃないか
信じたくなるから
これから先
たくさんの時間のなかで
愛されていた記憶は
きっと不意に巡りながら
ありがとうと想うのだろう
いろんなヒトカケラに
気づきながら
雨粒をくるくる傘で弾きながら
傘で顔を不意にかくしながら
雨粒にごまかして
さみしいとまた泣くのだろう
それでも
またの、またねなんだよ
大切なひと
大切にしてくれている人
いまから
たくさんの記憶を掬うたびに
きっと力をくれる
あなたを尊敬しています
娘になれて幸せだよ
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