逆転

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昼食が済み、ジュリアスはモーガンと共に、子供の様な小柄な東の軍人に連れられて再び会議室へ向かった。 「全員が到着するまでここでお待ちください」 午前中の会議室には軍の人間が沢山いたが、今はジュリアスとモーガンと小柄な軍人だけだった。 「エスはどうだったんでしょうか」 軍人が隣の部屋に移ると、モーガンが心配そうにジュリアスに小声で尋ねる。 「エスの到着を東の軍は待っているのかもな。どちらにしても、僕達は捕虜にされるだろう」 「エスが約束を反故にすると?」 ジュリアスは頷く。 「エスは東の人間だ。賭けなんて言っていたが、僕達を騙すなんて簡単だろう」 「俺も舐められたもんだなぁ」 ジュリアスとモーガンを会議室に連れて来た軍人が、隣の部屋から戻り帽子を外してジュリアスに言い放つと、ジュリアスとモーガンは驚いてその軍人、エスを見た。 「エス!声が全く違うから気が付かなかった」 ジュリアスは思わずエスの名前を叫んだ。 声色を変えることなど、エスには簡単な事だった。 「シッ!賭けはあんたの勝ちだ。俺の体は結局女のままだったよ。急いでこれに着替えろ」 隣の部屋から持って来た東の軍服を、エスはジュリアスとモーガンに渡した。 「これも飲め」 茶色の小瓶に入った薬をエスは2錠手のひらに出すと、ジュリアスとモーガンに差し出す。 「待ってくれ。僕は明日の朝まで男には戻れない」 「やっぱりそうか。元の姿に戻らねーと薬も効かないってことか」 ジュリアスは頷く。 「とりあえずモーガンだけでも飲んでおけ。何かあった時に時間稼ぎになる」 モーガンはジュリアスを見る。 「もし、私もエスの様に元に戻らなかったら、絶対元に戻す薬を作ってくださいよ」 泣きそうな顔でモーガンは薬を口に入れた。 「分かってるよ。約束だ。僕の頭脳を信じろ」
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