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大将の言葉にエスは目を見開いた。
「ちょっと待て!それは副作用と言うよりも、完全に大発見じゃないか!って、もし俺がそれに該当したら、俺は一生女のままか?」
エスは激昂した。
「確かに、人によっては願っても無い薬だがそれでは儲けにはならない。飲み続けさせることに意味があるんだ」
大将の言葉にエスは頭を抱える。
「どうして女になってまでこの女に近づく必要がある?ハニトラを仕掛けるなら男のままの方が良いんじゃないか?」
「今回のターゲットは男性不信なんだが、相手のフェロモンで男と女を完璧に嗅ぎ分けられる様だ」
エスはターゲットの資料の内容を思い出した。
栗色の長い髪の若い女性で中々の美貌。
身長もモデルの様に高く、知的な雰囲気でブラックのパンツスーツをキッチリと着こなしている。
年齢は19歳。
名前はジュリア・クラスフォード。
核兵器開発の最高責任者で核科学者である。
「彼女は真の天才だ。10歳になる前に、世界最高峰のオリエント大学を卒業している。しかも在学中はあらゆる新薬を作り出していた」
ジュリアの経歴を全て思い出し、エスは茶色の小瓶をグッと握り締めた。
「24時間後になっても男に戻らない場合、成功報酬を100倍にしてくれ」
万が一にも男に戻らなければ、能力的に、やはり今よりは劣るだろうとエスは不安になる。
「仕方ない。約束は守る」
エスに何かあれば、全世界を敵に回すことも大将は分かっている。
目の前にいるエスは、東の為に世界で活躍しすぎるスパイだからだ。
そう。
東が巨大な力を手に入れたのは、全てエスとエスの仲間達のスパイの働きによる。
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