プロローグ

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エスは東の軍の建物を出て自分の車に乗ると、タバコを咥えてスタートした。 「本当に大丈夫なんだろうか。万が一、副作用で女になったのなら、またこれを飲めば男に戻るとか?……それならそうと大将の奴も言うか。全く、謎の薬だぜ」 ブツブツ独り言を言いながら、吸い殻を車の灰皿に押し付け、しばらく走るとターゲットが逗留している、ホテルの地下駐車場に車を停めた。 「マジで副作用発動すんなよ」 エスは助手席に置いてあるミネラルウォーターのキャップを開けると、茶色の小瓶の薬を1錠口に入れた。 直ぐにミネラルウォーターを口に含むと、祈りながら錠剤を飲み込んだ。 「これ、どれくらいで効き目が出るんだ?」 そう言っている間に目の前の視界が歪む。 副作用さえ発動されなければ、これはエスにとっては願っても無い薬。 今までも女になりすましてスパイ活動をした事はあるが、薬を飲む度に本当の女になればハニートラップももっと簡単になる。 「……ははは、マジかよ」 着ていた洋服がダブダブになるほど体が変化していた。
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