ショーの始まり

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「こちらの方は?」 エスは同席している男をチラリと見た。 「僕は西の科学者で博士の助手のモーガン・パレリスです。レディマディお見知り置きを」 「レディは必要ないわ。マディと呼んでください」 エスはニッコリ笑って、西の科学者と名乗るモーガンの名前を頭の中で探すが、西の核科学者でモーガン・パレリスと言う名前には記憶がない。 「苦手な物はないかしら?」 博士に尋ねられてエスは首を振る。 「いえ、大丈夫ですわ」 博士は料理のコースを3人分注文すると、ソムリエに料理に合うワインを選んでもらい、3人は料理を楽しみつつ話しも弾んでいた。 とりあえずモーガンを離し、博士と2人きりの時間を作るかとエスは計画を練り直す。 「本当に面白い発想をする方ね。マディの見解はとても参考になったわ」 「博士にそう言っていただけて私も嬉しいわ。ああ、もっとたっぷりお話しをしたい」 とにかく博士の懐に入り込むことを、エスは様子を伺いながら詰めて行く。 「私もよ。モーガン悪いけど、食事の後はマディと2人きりにしてくれない?」 「あはは。私は除け者ですか。了解です」 その後モーガンは食事を終えると先に席を立った。 エスは瞳を潤ませ博士の手を握る。 「マディ?」 博士は少しだけ困惑する。 「よろしければこの先は私の部屋でワインでもいかが?」 エスの熱い眼差しと誘いの言葉に博士は恍惚の顔になった。 「ええ、ぜひ」
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