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逆転
あまりにも簡単にジュリアスに近付けたのは、このカラクリのせいだったのかとエスは思った。
ジュリアスのトラップにかかったのはエスの方だった。
「ふふふ。ふふふふふ」
エスは笑う。
「確かに頭は良いが、ツメは甘かったな」
エスが言うと、ジュリアスはニヤリと笑う。
「仲間がいるのも分かってるよ。ベルボーイ、それ以外にも居たのかな?ただ盗み出していたとしても、僕の部屋にある機密情報は全てトラップだよ」
そんなのはもう分かりきっているとエスは笑い続ける。
「分かっているさ。モーガンが、真の機密情報って事だろ?どうせ体のどこかにチップを埋め込んでるんだろ?」
エスの言葉に今度はジュリアスの顔から笑顔が消えた。
「俺の記憶力を舐めるな。西の核科学者は全てココに入ってんだよ」
エスは人差し指で頭をトントンとした。
「……嘘だろう?」
ジュリアスの顔が青ざめて行く。
「博士の助手と聞いておかしいと思ったんだよ。俺の記憶に全くなかったからな。つまり、モーガン自身が機密情報だって気付いた」
ジュリアスが、上着の下に隠していたホルダーからピストルを抜くとエスに向けた。
「モーガンをどうした!」
「もう、眠らせて運ばれているだろう」
ジュリアスは悔しそうに顔を歪める。
「俺を殺せば、モーガンは2度と帰っとこない」
エスの形成逆転に、ジュリアスは諦めてピストルを床に投げた。
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