07: 海誓山盟明和暗(不変の誓い)

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「怪我はありませんか……?」  煬鳳(ヤンフォン)の耳横で凰黎(ホワンリィ)の声が聞こえる。しっかりと凰黎(ホワンリィ)に抱かれ、守られた煬鳳(ヤンフォン)には怪我など一つもない。 「うん。凰黎(ホワンリィ)のお陰で俺は大丈夫だ。……それより、凰黎(ホワンリィ)は?」 「私もこれくらいで怪我などしません。それより煬鳳(ヤンフォン)、あれを見て」  声を抑えた凰黎(ホワンリィ)が、指で差し示す方向には見覚えのある人物が立っている。閑白(シャンバイ)の隣に立つその人物の顔からは、何の感情も見えてこない。真珠のような白く美しい髪と、透けるような白い肌、そして淡い色の瞳。  煬鳳(ヤンフォン)黒曜(ヘイヨウ)の記憶の中で見た――翳白暗(イーバイアン)その人だった。  煬鳳(ヤンフォン)の視線に気づいた翳黒明(イーヘイミン)が、視線の先を見て硬直する。 「嘘、だ……」  瞬きもせず翳黒明(イーヘイミン)翳白暗(イーバイアン)を凝視した。煬鳳(ヤンフォン)が見た記憶の中で――最後に残った翳黒明(イーヘイミン)翳白暗(イーバイアン)。二人は死力を尽くして殺し合い、辛くも勝ったのは翳黒明(イーヘイミン)だった。  しかし、翳白暗(イーバイアン)一人だけなぜこうして傷一つない姿で煬鳳(ヤンフォン)たちの前に立っているのか。 (さっき閑白(シャンバイ)だって『翳冥宮(えいめいきゅう)の人間を跡形もなく消し飛ばした』って言ったよな?)
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