07: 海誓山盟明和暗(不変の誓い)

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「くそっ……! どいてくれ! 頼む! 白暗(バイアン)!」  それでも翳黒明(イーヘイミン)はなんとか翳白暗(イーバイアン)を押しのけて閑白(シャンバイ)の元へ行こうとするのだが、立ちはだかる翳白暗(イーバイアン)を前にして、刃を向けることができない。 「どうした? 私を殺したいんじゃないのか? できないよな! だって大切な弟が前にいるんだから! 二度殺し合ったとしても、三度めはもうできないよな!」  目の前で叫んでいるのは、一体どのような魔物なのだろうか。とても昇仙したものとは思えぬ有様を目の当たりにして、恐ろしく不気味にさえ思えた。  翳黒明(イーヘイミン)はすっかり閑白(シャンバイ)の言葉で怒り、我を忘れかけている。このままでは危険な状態になってしまう、煬鳳(ヤンフォン)は焦った。  対峙するのは閑白(シャンバイ)翳黒明(イーヘイミン)の二人だが、弟である翳白暗(イーバイアン)がいる以上、安易に手を出すことは難しい。特に、あの記憶を見たあとでは、このまま二人を戦わせてしまったら、もういちど翳黒明(イーヘイミン)は自分を見失ってしまうだろう。 「空っぽの捨て駒だがお前に対しては非常に役に立つものだなぁ、こいつは。お喋りもそろそろ飽いたことだし、ここらで決着をつけようか」  閑白(シャンバイ)は袖の中から幾枚もの紙片を取り出した。 「あっ……それは!」  凰黎(ホワンリィ)が叫ぶ。間違いなくあれは、先ほど閑白(シャンバイ)翳冥宮(えいめいきゅう)の人々の偽物を作り出していたものと同一のものだ。
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