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鸞快子が小黄のことを守ってくれているため、彩藍方には比較的余裕があるようだ。仙界の同様のものと比べれば数段落ちるとはいえ、数体がかりで立ちはだかる鉄鉱力士はなかなかに圧巻だ。凰神偉や翳黒明は先ほどから一人で戦っているというのに、彼の周到さはさすがというべきか。
「ほら、お前が拾ってきた開かない箱だよ!」
「ああ……これか?」
煬鳳が彩藍方の襟首を掴むと、彩藍方はどこからか先ほど見つけてきた箱を煬鳳に見せる。
「そう、それ!」
確かに鍵は掛かっているが、煬鳳はその箱に見覚えがあった。
「煬鳳、でもそれは開かなかったのではないですか?」
閑白の分身を退け、凰黎が煬鳳に近づく。この箱に鍵がかかっていることは、煬鳳も凰黎も、この場にいた全員が知っている。だからこそ過去を垣間見るために鸞快子は翳黒明の持っていた絵を使ったのだが……。
「箱くらい力入れりゃ開くだろ!」
そう言うと力任せに煬鳳は箱をこじ開けようと試みる。――当然、箱は開かない。
「駄目だ。なんか封印でもかけてあるのか? ただの木箱がびくともしないなんてこと、ある訳がないよな?」
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