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「凰大哥、僕に開けさせて」
「……」
彩藍方と凰黎は、互いに両端を持ちながら小黄を呆然と見つめる。その後二人で顔を合わせ頷くと、恐る恐る小黄の両手に小箱を載せてやった。
小黄は箱のそっと小箱を撫でると鍵穴のついた前蓋に触れる。その瞬間、小黄の身体に黄金色の光が見えたような気がした。
(まさか……、気のせいか?)
そんなはずはないと煬鳳は眼をこする。けれどもう一度見たときには光は消えている。
(いや……でも、あんな綺麗な光、見間違うはずないよな)
果たして凰黎はいまの光を見たのだろうか?
色々な考えが煬鳳の脳裏に浮かんでくるが、しかし小黄の叫んだ言葉でそんなことは頭の隅っこに追いやらねばならなくなってしまった。
「……開いた!」
小黄の声に反応して、煬鳳も、凰黎もそして彩藍方も箱を覗き込みむ。ゆっくりと開かれた小箱からは白い光が箱から零れだし、翳冥宮に仄かな灯りをともしたのだ。
「やっぱり……!」
その中にあったのは煬鳳の予想通り。
煬鳳は小箱の中身を大切に手布に包むと、急いで翳黒明の元に向かって走り出した。
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