07: 海誓山盟明和暗(不変の誓い)

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 翳白暗(イーバイアン)の剣が翳黒明(イーヘイミン)の脇腹を掠める。すんでのところでそれをかわした翳黒明(イーヘイミン)だったが、至る所から血が流れこの状態を維持するのもそろそろ限界がきているようだ。 「ああ、もう! 師兄の身体なんだぞ! 大事にしろ!」  堪らず彩藍方(ツァイランファン)がそう叫び、翳黒明(イーヘイミン)の間に割り込んだ。 「済まない」 「謝るなら、とっとと翳冥宮(えいめいきゅう)を復興させてその体を返しやがれ!」 「はは……」  翳黒明(イーヘイミン)がふっと笑った。遠慮ない彩藍方(ツァイランファン)の正直な言葉に思わず笑ってしまったのだろう。もう少し言い方があるだろうとは思うのだが、そう言いつつも彩藍方(ツァイランファン)はいま、翳黒明(イーヘイミン)を助けようとしている。 「酷い怪我じゃないか! いいか、お前の弟はもうとっくに死んでいるんだ。いくら体がそこにあったって、百年以上経ったいま、戻ってくることは絶対にありえない。諦めて割り切るんだ!」 「割り切れるものか! 俺だって死んだ。魂魄しか残っていない。それでも百年以上経ったいま、こうしてこの場所に戻ってきたんだ!」  彩藍方(ツァイランファン)の言葉に、翳黒明(イーヘイミン)は言い返す。  他でもない自分のことなら我慢できようが、意識も魂魄すら無かったとしても、目の前に弟がいたら諦めきれないのも無理はない。  ――特に、もっとも大切な存在であるのならなおさらだ。
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