07: 海誓山盟明和暗(不変の誓い)

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 すかさず閑白(シャンバイ)の剣を遠くに投げ捨てた煬鳳(ヤンフォン)は、翳黒明(イーヘイミン)翳白暗(イーバイアン)の身体を引っ掴んで助け起こした。 「二人とも、これを見ろ!」  煬鳳(ヤンフォン)翳黒明(イーヘイミン)の手の中に広げた手布を押し付ける。続いてどこを見ているのか分からない、焦点の定まらない瞳の翳白暗(イーバイアン)の頭を抱え込むと、彼の視線を翳黒明(イーヘイミン)の手に向けてやる。 「これは、あのときの……」  困惑の混じった翳黒明(イーヘイミン)の表情と声。翳黒明(イーヘイミン)はこれが誰のためのものであるのか分かっていないのだ。 「約束の花……」  白く美しく、繊細に彫られた羊脂玉の髪飾り。それは翳白暗(イーバイアン)が想い人のために少しずつ作った約束の花の髪飾りだった。  翳白暗(イーバイアン)はやはり、何も反応することはない。体はあっても魂魄がないのだから、思い出の品を見せたところで無意味なのかと煬鳳(ヤンフォン)は唇を噛む。  煬鳳(ヤンフォン)には、これが誰のために作ったものなのかが良く分かっている。煬鳳(ヤンフォン)の口からそれを告げることは容易いことだ。  しかし、できることなら本人から伝えることができたなら――そう思って一縷の望みをかけたのだった。 (駄目か……)  しかし望みはやはり潰えてしまったらしい。時間も惜しい、仕方なく煬鳳(ヤンフォン)は髪飾りのことを翳黒明(イーヘイミン)に伝えることに決め込んだ。 「いいか、翳黒明(イーヘイミン)。この髪飾りはな――」
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