07: 海誓山盟明和暗(不変の誓い)

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 痛みをものともせず背筋を伸ばした翳黒明(イーヘイミン)は、迫る閑白(シャンバイ)を真っすぐに見据える。 「父上は言った。『宮主(ぐうしゅ)には相応の責任がある。その責を負うのには覚悟が必要だ』と。当時の俺は理解したつもりで、全然分かっていなかった。翳冥宮(えいめいきゅう)が滅んだあとに感じた苦しみと後悔を。俺自身が封印されてなお、蘇ってもなお、その記憶から逃れることができなかった」  血を吐くような独白。  翳黒明(イーヘイミン)の頬に一筋の涙が流れる。 「閑白(シャンバイ)。俺の全てを懸けて、貴様の手から翳冥宮(えいめいきゅう)を開放してみせる。それが、俺の、翳冥宮(えいめいきゅう)の最後の一人としての、宮主(ぐうしゅ)としての責任だ。そして、白暗をお前の手から取り戻す!」  煬鳳(ヤンフォン)は思い出す。夢の中で宮主(ぐうしゅ)が彼に言ったこと。 『……黒明。私はその覚悟を、その重さをお前に全て託す。幼い頃より一身にお前が背負ってきたのだから』  きっと彼はかつての宮主(ぐうしゅ)が言った意味を理解したのだ。  魂魄だけになっても現世に取り残された翳黒明(イーヘイミン)。  様々な葛藤や苦しみもその過程にあっただろうが、彼の人生が終わりを迎えたその果てに、ようやく己の果たすべきことを理解したに違いない。  それが必然であったのか、偶然であったのか。  どちらにしても些細なもの。 「あれは……!?」  凰神偉(ホワンシェンウェイ)が叫ぶ。
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