07: 海誓山盟明和暗(不変の誓い)

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 翳黒明(イーヘイミン)からあふれ出した翳炎(えいえん)は、翳冥宮(えいめいきゅう)の広間を走り抜け、鮮やかな紋様を描き出す。  刹那、激しい爆発が続けざまに巻き起こり、閑白(シャンバイ)を包み込んだ。 『ぎゃあああああ!?』  閑白(シャンバイ)の絶叫が広間に響く。  燃え上がる火の粉が花のように散り落ちて、床を覆っていた敷布が炎の海のように燃えてゆく。燃え尽きたその下からは鮮やかに輝きを放つ大きな陣が姿を現した。 (あれは……逆極陣!)  黒曜(ヘイヨウ)の記憶の中で煬鳳(ヤンフォン)は見た。翳冥宮(えいめいきゅう)が何者かに狙われていると感じた宮主(ぐうしゅ)が、密かに翳黒明(イーヘイミン)だけに伝えられた翳冥宮(えいめいきゅう)とっておきの仕掛けだ。  万が一敵が攻め込んできたら広間で迎え撃てと――。  翳黒明(イーヘイミン)が過去それを使うことはなかったが、よもや時間(とき)を経てこのような形で使うことになるとは……。 「っ……!」  爆発の衝撃で天井が吹き飛び、瓦礫が頭上に落ちてきた。咄嗟に煬鳳(ヤンフォン)は自分の頭を庇いながら、動かない白暗(バイアン)の頭を体で覆い隠す。 (黒明(ヘイミン)は……?)  あれほどの傷を負っているのに、無事であるわけがない。翳黒明(イーヘイミン)明のいた場所に目をやれば、片膝をついている翳黒明(イーヘイミン)の姿が目に入った。 「黒明(ヘイミン)!」  煬鳳(ヤンフォン)は叫ぶが、既に翳黒明(イーヘイミン)は気力だけでなんとか態勢を維持しているように見える。
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