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近づく気配に気づき、ち振り返る翳黒明の視線が固まり、驚きで瞳が見開かれる。
「白暗……?」
驚く翳黒明の元へ滑るように近づいた翳白暗は、背後から彼をそっと抱きしめた。
白と黒、二つの炎が絡み合い、渦を巻くように逆極陣は激しく廻る。恐らく、翳白暗が己の霊力を翳黒明へと流したのだろう。同じ翳冥宮の力を持つもの、しかも双子ともなれば互いの霊力を融通することは造作もないはず。
『ばかなあ……っ……!?』
爆発の中で微かに聞こえた閑白の断末魔はすぐさま次の爆発でかき消される。容赦なくそして煬鳳たちも衝撃で吹き飛ばされた。
「あ、いってえ……」
凰黎にしがみ付いたまま地面に転がった煬鳳は、痛みをこらえて体を起こす。それでも咄嗟に凰黎が庇ってくれたので、傷もなくまだマシなほうだ。
「凰黎!?」
慌てて凰黎の怪我を確認しようとすると「大丈夫」と凰黎は言う。
「叩きつけられる前に防御壁を展開させました。多少の衝撃による痛みはありますが他は問題ないでしょう。小黄や兄上たちも無事のようですね」
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