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そう言って凰黎の指し示した先には、凰神偉と鸞快子の二人が小黄を守るように立っている。小黄は鉄鋼力士にしっかりと抱きかかえられ、怯えた様子で目を瞑ってはいるが、見たところ怪我はなさそうだ。
「そうだ、黒明は……?」
一番損傷の激しい場所に目を凝らせば、瓦礫の中に屈みこむ翳黒明と翳白暗がいる。彼らが一番爆発に近かったはずだったが、無傷であることもまた逆極陣のお陰なのだろうか。
立ち上がろうとしてよろけた翳黒明の腕を優しく支えた翳白暗は、穏やかな表情で翳黒明の瞳を見つめている。彼の口元には微かに微笑みが浮かび、その瞳には意思の光が宿っているように思えた。
「白暗……」
弱弱しい声で語り掛けたのは翳黒明だ。
「済まなかった。ろくに確かめもせず、お前に当たり散らして傷つけてしまった。俺がもう少しお前のことを理解していたら……。謝って許されることじゃないのは分かっている。でも、俺は……」
どもりながらたどたどしく言葉を重ねる翳黒明には涙が滲んでいる。それでも懸命に謝罪の言葉を紡ごうとすると、翳白暗の白い手が翳黒明の頬に触れた。
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