07: 海誓山盟明和暗(不変の誓い)

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 翳白暗(イーバイアン)の手は伝う翳黒明(イーヘイミン)の涙を拭い取り、彼の頬から手へと滑るように落ちてゆく。翳黒明(イーヘイミン)が握りしめた掌を指一本ずつ優しく開いた翳白暗(イーバイアン)は、その手から白い髪飾りを抜き取った。 『僕のいちばん大切な人に――』  翳黒明(イーヘイミン)の頭の後ろへと己の手を回し、白い髪飾りを器用な手つきで翳黒明(イーヘイミン)の髪に留める。  翳黒明(イーヘイミン)翳白暗(イーバイアン)を凝視したまま、何も言うことができない。信じられないという顔つきで、翳白暗(イーバイアン)の様子を見ているだけ。 「白……」  やっとの思いで言いかけた翳黒明(イーヘイミン)の口を翳白暗(イーバイアン)がすぐに塞ぐ。翳黒明(イーヘイミン)の瞳は驚き見開かれ、緩やかにその身体は力を失っていった。  皆は一部始終を呆然と眺めていたが、それでも何が起こったのかすぐには分からずに沈黙の時間が過ぎてゆく。当事者である翳白暗(イーバイアン)もぼんやりと虚空を見つめたまま、微動だにしない。  やがてようやく煬鳳(ヤンフォン)は我に返ると翳黒明(イーヘイミン)の名前を呼んだ。 「黒明(ヘイミン)!」 「師兄!」  煬鳳(ヤンフォン)彩藍方(ツァイランファン)が同時に叫んだが、意外なところから翳黒明(イーヘイミン)の返事は返ってきた。 「――俺はこっちだ」
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