07: 海誓山盟明和暗(不変の誓い)

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 おもむろに顔をあげたその人は翳白暗(イーバイアン)だ。しかし声は違えど、むすっとした口調は翳黒明(イーヘイミン)その人に相違ない。怪訝に思い、煬鳳(ヤンフォン)彩藍方(ツァイランファン)はもう一度翳黒明(イーヘイミン)だったはずの男を見る。ぐったりとして目を閉じたその姿はとても弱弱しく、まるで彼が乗り移る前の彩鉱門(さいこうもん)の公子、彩菫青(ツァイジンチン)であるかのようだ。 「……どういうことだ?」 「……」  煬鳳(ヤンフォン)彩藍方(ツァイランファン)が尋ねると、翳黒明(イーヘイミン)は俯き黙ってしまう。 「恐らく翳白暗(イーバイアン)は己の身体に翳黒明(イーヘイミン)の魂魄を移したのだ」 「鸞快子(らんかいし)!」  そう言ったのは鸞快子(らんかいし)だ。閑白(シャンバイ)の分身たちと戦いながら小黄(シャオホワン)を守っていたはずの彼だったが、汗一つかいてはいない。 「もともと閑白(シャンバイ)が彼を連れてきたとき、彼の身体は空っぽだった。あの瞬間……ほんの一時だけ翳白暗(イーバイアン)の魂魄が体に宿り、翳黒明(イーヘイミン)に己の身体を託したのだと、私は思う」  鸞快子(らんかいし)は穏やかな口調で翳黒明(イーヘイミン)に語り掛ける。彼の気持ちを慮って、ゆっくりと諭すように話す。それでも翳黒明(イーヘイミン)はすぐにその言葉を受け入れることができず、拳を握りしめている。 「そんなの……俺は望んでいない。白暗(バイアン)が傍にいてくれた方がずっと良かったのに……」
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