07: 海誓山盟明和暗(不変の誓い)

152/161

109人が本棚に入れています
本棚に追加
/1358ページ
 さらには恐らく……彩藍方(ツァイランファン)たち彩鉱門(さいこうもん)の存在までも。  そしてそれだけではなく、小柄の老人から感じる不釣り合いなほどの大きな力。それを隠すことなく、ある意味脅迫にも似た意味合いを持つこの老人のふるまいが、無意識に煬鳳(ヤンフォン)を警戒させる。 (流石は、凰黎(ホワンリィ)仙界(せんかい)に連れて帰ろうとした仙人だ……)  これほどまでに大きな力を持っていたら、恒凰宮(こうおうきゅう)宮主(ぐうしゅ)も争いを避けるしかない。いまは亡き彼らがどのような気持ちでいまの結論に至ったのか、煬鳳(ヤンフォン)には分かる気がした。 「ところで蓬莱(ほうらい)様。このような場所にわざわざお越しくださったのは、ただ我々に会うためだけではありませんよね?」  すかさず凰黎(ホワンリィ)蓬莱(ほうらい)に向かって切り出した。  それで煬鳳(ヤンフォン)は、いまこの場に蓬莱(ほうらい)が来たことが実に不可解だったことに気づく。閑白(シャンバイ)は口ぶりからして彼に仕えている仙人だろう。翳冥宮(えいめいきゅう)の一件にも蓬莱(ほうらい)はかかわっているのではないか、と考えた。 「そうそう。大事なことを忘れるところじゃった」  蓬莱(ほうらい)莞爾(かんじ)と笑い、足元の黒炭を踏みしめる。先程まで閑白(シャンバイ)であったその炭は微かな波動を発したあと、静かに沈黙した。  その恐ろしく冷淡で非情なさまを見て誰もが言葉を失い、青ざめた。
/1358ページ

最初のコメントを投稿しよう!

109人が本棚に入れています
本棚に追加