07: 海誓山盟明和暗(不変の誓い)

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「申しわけございません、蓬莱(ほうらい)様。ですが弟は閑白(シャンバイ)との一戦で疲労しております。非礼を承知でお願いいたします、今日のところは仙界(せんかい)にお戻りください」  凰神偉(ホワンシェンウェイ)蓬莱(ほうらい)に頭を下げ直言する。丁寧な物腰だが、絶対に引くことはないという意思のこもった声。かつては幼かったばかりに凰黎(ホワンリィ)を見送ることしかできなかったツケを、いま取り戻そうと彼はしているのだろう。 「やれやれ。こうなっては儂が悪者のようじゃな」  溜め息を一つついた蓬莱(ほうらい)の声から、殺気が抜けたように煬鳳(ヤンフォン)には思えた。 「今日のところはそなたの兄に免じて帰るとしよう。しかし凰黎(ホワンリィ)。そなたは既に人の道を外れている。このまま人界(にんかい)にいるよりも仙界(せんかい)に行く方がきっとそなたのためになるであろうよ。ゆめゆめ忘れるでないぞ」  そう言うと蓬莱(ほうらい)はひらりと扇を一扇ぎする。扇いだ風から霞か雲か生まれると蓬莱(ほうらい)はそれを纏って空の彼方へと飛んでゆく。 「ゆめゆめ忘れるでないぞ――」  遠くでもう一度、蓬莱(ほうらい)の声が聞こえた気がした。  それから、煬鳳(ヤンフォン)たちは急いで彩藍方(ツァイランファン)彩鉱門(さいこうもん)へと送り出した。蓬莱(ほうらい)がいつ戻って来るとも分からなかったからだ。彩菫青(ツァイジンチン)が負った怪我も楽観視はできない。 「師兄の件が落ち着いたらまた戻ってくるからな!」
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