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「確かものすごい情報を圧縮できる鉱石、だから人知を超えた力を発揮できる。そんな感じの話だったな」
黒炎山で彩鉱門に行ったとき、彩藍方は凰黎のために万晶鉱について知っているかぎりのことを教えてくれた。彩鉱門は鉱石の扱いに長けるがそれだけではなく、万晶鉱を鋳造する技術を持った唯一の門派だったからだ。
「そう。……ただ、万晶鉱の力がそれだけかと言えば違います。それになぜ万晶鉱を扱うことができるのが彩鉱門だけかといえば、それにも理由があるのです」
凰黎は語る。
万晶鉱はみなが喉から手を出して欲しがるほどの素晴らしい鉱石だ。それがあれば普通の剣や少し呪力が込められた程度の宝器などとは比べ物にならぬほどの威力を発揮する。
だからこそ、みなが血眼になって求めているのだ。
しかし同時に、大きな力は不幸をもたらすという。
「不幸?」
「煬鳳は原始の谷のおとぎ話、知っていますよね?」
「そりゃあ、もちろんだよ。原始の谷の宝物を持って帰ろうとしたら死んだっていう、変な話だったけど」
「実はあのおとぎ話は揶揄でも例えでもなくほぼ真実を語っているのです」
「えっ!?」
煬鳳が驚いていると、凰黎は「いまから説明します」と告げた。
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