08:五趣生死情侣们(恋人たち)

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 やはり凰黎(ホワンリィ)も過去と未来を、万晶鉱(ばんしょうこう)の記憶を見たのか。先ほど考えていたことの結論が導き出され、やっぱりという気持ちと驚きとで煬鳳(ヤンフォン)は一杯になった。  ほぼすべての人間が万晶鉱(ばんしょうこう)に触れれば死に至る。  ――にもかかわらず、凰黎(ホワンリィ)は『例外』となって生還したのだ。 「そもそも、原始の谷は封印されていた。それなのに何故か私は原始の谷に迷い込み、しかも万晶鉱(ばんしょうこう)に触れ、子供でありながら無傷で戻ってきた。彼らはそれで『神に選ばれた子供』だと私のことを思ったようです」  凰黎(ホワンリィ)が禁忌である原始の谷に入ったのは本当に、神のいたずらか奇跡としかいいようがない。当時の恒凰宮(こうおうきゅう)宮主(ぐうしゅ)――凰黎(ホワンリィ)の両親は相当驚いたそうだが、それも無理はないことだろう。 「……いまでもそれが何故なのか、分かりません」  凰黎(ホワンリィ)は俯く。その瞳は微かに揺らめいている。 「じゃあ、凰黎(ホワンリィ)は過去のこととか未来のこととか、知ってるのか?」  煬鳳(ヤンフォン)は恐る恐る尋ねた。 「ほんの少しは。ですが、それとて過去未来全ての事象から見たら、空から落ちた雫の一滴のようなもの。決して自分が選んだ過去や未来を見ることができるわけではないので……」  ただ、そのことによって恒凰宮(こうおうきゅう)は大騒ぎになった。
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