08:五趣生死情侣们(恋人たち)

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 振り返り翳黒明(イーヘイミン)にも同様に。 「……俺は翳冥宮(えいめいきゅう)宮主(ぐうしゅ)になるつもりはない。……しかし、いま翳冥宮(えいめいきゅう)の関係者は俺だけであるし、魔界(まかい)の新しい皇帝陛下が翳冥宮(えいめいきゅう)を任せられる人材を連れてきてくれるまでは、そういうことにしておこう」 『相変わらず素直じゃないな』  斜に構えた物言いをする翳黒明(イーヘイミン)を窘めたのは他でもない、黒曜(ヘイヨウ)だ。本をただせば同じ人間が己に突っ込むのはいかがなものだろうか。 「煩いぞ。なんならお前が翳冥宮(えいめいきゅう)宮主(ぐうしゅ)になったっていいんだからな」 『遠慮しておく。お前は白暗(バイアン)に託されたんだから、しっかり頑張れよ』 「……」  同一人物なのに他人事の黒曜(ヘイヨウ)に対して、なにか言いたげな目で翳黒明(イーヘイミン)は見ていたが、黒曜(ヘイヨウ)小黄(シャオホワン)の方に逃げてしまったので結局諦めたようだ。 『クエェ』  黒曜(ヘイヨウ)小黄(シャオホワン)の腕の中に飛び込んで来たので、小黄(シャオホワン)は零れんばかりの笑顔を見せる。 「曜曜(ヨウヨウ)! ねえ、曜曜(ヨウヨウ)も一緒に行くんだよね?」 『クェ!』  その通りだ、と言わんばかりに黒曜(ヘイヨウ)は鳴く。どうでもいいが、先ほどまで普通に翳黒明(イーヘイミン)と会話をしていたのに、なぜ小黄(シャオホワン)の前だと『クェ』しか話さないのだろうか。
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