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――が。次の瞬間、鸞快子は椅子から立ち上がると皆に向かって叫ぶ。
「伏せるんだ!」
鸞快子の言葉と同時かすぐあとに激しい揺れが襲ってきて、煬鳳は立っていられなくなった。棚の書物が一斉に地面に落ちる。
煬鳳は凰黎を守ろうとしたが、煬鳳の思いとは裏腹に凰黎が煬鳳の上に覆いかぶさるようにして、地面に倒れ込む。
「凰黎……っ」
「動かないで……!」
玄烏門に戻ってきたときも地震に遭遇したが、今回の地震はもっと激しいものだ。
(小黄は……?)
凰黎に守られながら小黄の姿を探せば、机の向こう側で翳黒明が小黄を抱きしめ抱えているのが見えたので煬鳳は安堵した。
「暫く動かないように。この揺れなら恒凰宮も星霓峰全体も問題はないだろう。幸いなことに雪もない。落ち着いて揺れが収まるのを待ちなさい」
凰神偉は燐瑛珂と共に立ったまま、外にいる門弟たちにも指示を送っている。宮主であるからには、非常時でも平静を保たねばならないのだろう。冷静に分析して皆を動揺させぬようにしている彼は、さすが凰黎の兄だ。
そこまで考え凰神偉の言葉を反芻した煬鳳は、あることに気づく。
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