08:五趣生死情侣们(恋人たち)

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(もし星霓峰(せいげつほう)の雪が溶けていなかったら……)  そのときは麓の村や白宵城(はくしょうじょう)に雪崩が押し寄せていたかもしれない。全てを雪崩が飲み込んでいくさまを想像して、煬鳳(ヤンフォン)は身震いをした。  幸いにも暫くして地震は落ち着いたようだ。まだ次の揺れが来るのではないかとみなが警戒して様子を窺っていたが、半刻ほど待ってみても再び揺れることはなかったためにようやくみなは安心してゆっくりと立ち上がり始めた。 「うわあああん……」  激しい揺れに怯えたのか、小黄(シャオホワン)が泣き始めてしまったようだ。翳黒明(イーヘイミン)の胸にしがみ付き、喚き叫んでいる。翳黒明(イーヘイミン)もこれには困ってしまったようで、おろおろしながら「ちょっと、助けてくれよ……」と煬鳳(ヤンフォン)たちを見る。 「あー、小黄(シャオホワン)? 小黄(シャオホワン)? (ヤン)大哥(にいに)の方においで?」 「わああああん……」  煬鳳(ヤンフォン)は「おいで」と手を差し伸べたのだが、肝心の小黄(シャオホワン)は泣くことに必死で全く煬鳳(ヤンフォン)を見ていない。 「駄目だな。こうなったら泣き止むまで黒明(ヘイミン)が――っ!?」  突然煬鳳(ヤンフォン)は体温の上昇を感じ、耐え切れずに膝をつく。 「煬鳳(ヤンフォン)!?」  凰黎(ホワンリィ)の叫ぶ声がしたが、駆け寄る前に凰黎(ホワンリィ)は足を止めた。 「翳黒明(イーヘイミン)!? 二人とも、一体なにが!?」 「小黄(シャオホワン)を、頼む……」
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