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素早く拝陸天は煬鳳と翳黒明二人の背に手を当てると、膨大な冷気を送り込む。
「っくしゅん!」
「済まぬ、小鳳よ。張り切りすぎて少々寒かったか?」
「いいよ、陸叔公が来てくれたんだから」
むず痒くて照れくさい。それでも素直な気持ちを煬鳳は拝陸天に告げる。
「うむ。小鳳のためならば当然だ」
答える拝陸天も嬉しそうだ。
拝陸天の尽力のお陰で、すぐに煬鳳たちはもとの体温へと戻ることができた。むしろ拝陸天が張り切ったお陰で少し寒くなったほどだ。
「それにしても……さすが魔界の皇帝。先ほどまでは室内の気温まで上昇していたというのにあっという間に涼しさすら感じるほどになるとは……」
そこまで言ったあと、凰神偉は相手が魔界の皇帝であり、更にはその皇帝に対して挨拶すらしていないことに気づいたらしい。慌てて姿勢を正すと、
「魔界の皇帝陛下に拝謁致します。煬殿の叔父君であると凰黎より窺っております。恒凰宮にようこそおいで下さいました。私は凰黎の兄で恒凰宮の宮主、凰神偉と申します」
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