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厳かに拝陸天に対して拝礼をしたが、拝陸天は慌ててそれを制した。
「堅苦しい挨拶は無用だ、宮主。こちらこそ突然押しかけた非礼をお詫びする。不可侵の睡龍に魔界の皇帝が出てくるのは少々都合が悪い。ここではただの小鳳の叔父『煬六郎』とでも呼んでくれ」
さりげなく『煬』を入れたところは、ちゃっかりした叔父であると煬鳳は思う。
凰黎に助け起こされた煬鳳は、改めて拝陸天に向き直る。
「陸叔公、有り難う」
しかし、覚え辛いので煬鳳はそれを聞かなかったことにした。
「なに、可愛い小鳳のためなら当然のこと。……それにしても、妙なものであったな。霊力を使ったわけでもないのに二人同時に、しかも地震の直後に突然あのような状態に陥るとは……」
「うん、俺にも原因が全然分からないんだよな。心当たることは地震があったことだけ……」
あの状態でなにか切っ掛けがあるとしたら、それは今しがた起きた地震以外考えられないだろう。
しかし、なぜそうであるのかは皆目見当がつかない。
「とにかく……まずは皆さん落ち着いてください。椅子に座って。兄上は外にいる皆さんのことをお願いします」
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