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「では黒炎山での二人の様子はどうだった?」
どうと言われても煬鳳は困ってしまう。あのときは翳黒明と戦っていたから煬鳳も多少なりとも霊力を使用した。同様に翳黒明も煬鳳たちと戦い、翳炎を含んだ火山の熱気を吸収して取り付いていた体を失ってしまったのだ。
あのとき彩鉱門の彩菫青がいなかったら、翳黒明は今頃どうなっていたか分からない。
「二人はお互い霊力を使って戦いましたし、黒炎山の火山には翳炎が宿っていますから、翳黒明も煬鳳も常に影響を受けていたと思います。煬鳳はあらかじめ霊力を極力使わないように呪符を用意していはずなのに、想定よりも体の熱は上昇しました」
「……そう言われれば。あれが普通だと俺は思ってたけど……」
凰黎に言われるまでそうとは思わなかったが、確かに黒炎山の影響を受けてか熱の上昇は特に大きかったような気がする。
翳黒明と戦ったときは、それを逆に利用して彼の体を崩すことに成功したのだ。
「つまり――私が言いたいのは、黒炎山の動きと二人の熱の上昇はある程度関係があるのではないか、ということだ。もしもいま、黒炎山で地震が起きているのだとしたら、間違いなくそれは正しいということ」
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