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鸞快子はそう言うと、燐瑛珂に「紙はあるか?」と尋ねる。ほどなくして燐瑛珂は凰神偉と共に大きな紙と筆を持って戻ってきた。
「少し情報を纏めてみようか」
鸞快子は広げた紙に慣れた手つきで筆を走らせる。なにを描くのかとその様子を見ていたが、それが何であるかは煬鳳にもすぐに分かった。
「これ、睡龍だ!」
「そう。睡龍を含めた……大雑把な九州の図。まずここが鉱山が崩落した揺爪山。鉱山が崩落したのは地震によるものだが、噂では鉱夫たちは誰一人生きてはおらず、みな干からびた骨のようであったとか」
朱の筆に持ち替えて鸞快子は揺爪山の場所に名前を書き印をつける。
しかし、何度聞いても揺爪山での話は不気味で仕方がない。煬鳳は実際の状態を見てはいないが、鸞快子が下調べもなしに言うとは思えない。だから恐らくそれは事実なのだろう。
「そしてここが、睛龍湖。確か一晩にして湖の水はおろか周囲の木々も水を吸い取られたように枯れ果ててしまったとか」
湖の水……と言われたところで煬鳳はぎくりとしたが、鸞快子は他の湖のことには触れなかった。
(危ない危ない……これで雷靂飛とかいたら絶対に他の湖のこととか言ってきただろうな……)
などとつい考えてしまう。
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