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煬鳳の言葉にみなが一斉に地図を覗き込んだ。その場所は睡龍の端、冽州の最北端の場所にあったのだ。
「ほら、『辰尾江』って、どう見ても龍の尻尾ってことだろ?」
「言われてみれば、確かにそのような気がしますね。鸞快子、この場所で地震が起きたのはいつのことですか?」
凰黎に問われ、鸞快子は「ほんの半月ほど」と言う。それは概ね煬鳳たちが玄烏門で地震に遭遇したあの時期と重なっている。
「一説によると倒れ伏した火龍の尾がつけた跡が河となったという」
「そうか……尾ってやっぱり、そういうことだったのか」
鸞快子の言葉により、煬鳳は確信した。やはり小黄が言っていたのはこのことだったのだ。
「待ってください。……それなら『睛龍湖』も龍の瞳ですよ」
凰黎の口調は強張っている。どうやら凰黎はなにかに気づいたらしい。その表情は心なしか青ざめているように見えた。
「凰黎、どうしたんだ?」
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