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「見て下さい。辰尾江、睛龍湖、揺爪山……これら全て龍の部位を表しているのではないでしょうか。ええと……つまり、睡龍である由来というのは、もともと五行盟の盟主、瞋九龍が火龍を倒したときに龍が倒れ伏したことから来ています。そして倒れた龍は動かすこともできずそれが時間をかけて山となり大地となりました。……その龍の部位に纏わる場所で異常が起こっているということは、鸞快子が会った国師の言う『睡龍の危機』に他ならないのではないでしょうか?」
凰黎の言葉に一同は言葉を失った。
聞けば聞くほどそれ以外に考えられないと思ったからだ。
「ま、待ってくれ。そうだとしても黒炎山は何も関係ないんじゃないか? だって黒炎山には龍の名前なんて――」
「いや。黒炎山は正しい山の名ではない。人々によってそう呼ばれるようになっただけだ」
驚いて煬鳳が言った言葉を遮るように凰神偉が口を開く。
「黒炎山はもともと別の名であったはずだが、黒冥翳魔を火口に封じたことで火山の炎が翳炎を取り込み勢いを増した。その炎を見て人々はあの山を『黒炎山』と呼んだのだ」
「つまり、兄上はあの黒炎山にも別の名があると仰りたいのですね?」
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