08:五趣生死情侣们(恋人たち)

33/85
前へ
/1358ページ
次へ
 煬鳳(ヤンフォン)の肩に乗っていた黒曜(ヘイヨウ)がおもむろに口を開いた。みなその言葉に愕然として、そしてもう一度黒曜(ヘイヨウ)を見る。 『煬鳳(ヤンフォン)は子供だったから文字なんか読めなかっただろうが、俺は読めたからな。……ただ、いまのいままでそれが何なのか考えたこともなかったし、忘れていた。……しかし、龍に関係があることは分かったが、山の名前までは俺もさすが分からない』 「いえ、それだけでも十分すぎるほどの収穫です。感謝します、黒曜(ヘイヨウ)」  安心したわけではないのだろうが、それでも一歩前進したことに凰黎(ホワンリィ)は表情を緩ませた。 「根を詰めすぎてはいけない。果報は寝て待てと、そう言うであろう?」  そう言ったのは拝陸天(バイルーティエン)だ。しかし、寝て待ってやってくる果報と来ない果報というものが世の中にはあるだろう。 「陸叔公(りくしゅくこう)……いくらなんでも、黒炎山(こくえんざん)の名前は待ってても出てくるわけがないよ」  さすがそれは無理があると、煬鳳(ヤンフォン)拝陸天(バイルーティエン)を窘める。拝陸天(バイルーティエン)煬鳳(ヤンフォン)の言葉にも笑顔を崩さない。 「そうでもないぞ? 実は私は、魔界(まかい)の皇帝だ。この先に起こることが少しわかる。……凰神偉(ホワンシェンウェイ)ほどの人物ならば、既に誰か黒炎山(こくえんざん)の名前について調べに行かせているのではないか?」 「……その通りです。先ほどすぐに恒凰宮(こうおうきゅう)の記録を調べに行かせました」
/1358ページ

最初のコメントを投稿しよう!

109人が本棚に入れています
本棚に追加