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驚いた顔で凰神偉は拝陸天の言葉に頷いた。よくよく見てみれば、燐瑛珂の姿が見当たらない。いつの間にか凰神偉は彼を資料の捜索に向かわせたようだ。
ただ、『未来が分かる』というのは大げさだろう。
恐らくは凰神偉が燐瑛珂に命じたところをみていただけなのだ。
「ごめんね、僕。みんなの役に立てなくて……」
みなの話を聞いていた小黄が突然泣きそうな声で言う。煬鳳は驚いて小黄のもとに駆け寄ると抱きしめた。
「なに言ってるんだ! 小黄はそんなに思いつめなくたっていいんだぞ! みんなが調べてるから、すぐに分かるって!」
「でも……」
うるうると瞳を潤ませたあと、ぼたぼたと涙を小黄は零す。
「ごめんな。小黄は時々すごいことを言うから、つい期待しすぎちゃったんだ。でも、言えなくても俺たちは全然気にしないし、お前も気にしないでくれ。いいな?」
煬鳳の肩から黒曜が小黄の肩に飛び移る。黒曜は鳥らしい仕草で小黄の頬にすりすりと頬ずりをして慰めているようだ。
「う、うん……」
腕の中に滑り落ちた黒曜をしっかりと抱きしめ、ようやく小黄は落ち着いたらしい。瞳は泣いたことで赤くなっていたが、それ以上涙を零すことはなかった。
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