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(黒曜もやるじゃないか。小黄がちゃんと泣き止んだ)
さすが煬鳳が子供のころから一緒に生活してきただけのことはある。
* * *
「見つけました!」
それから暫くたったころだ。みなが心を落ち着けるために凰黎が淹れてくれた茶を飲んでいると、燐瑛珂が駆け込んできた。普段の冷静な彼からは想像もつかないほど大急ぎで報せに来たらしい。
「急がせて悪かったな」
「いえ、ことがことですので……」
すかさず燐瑛珂のことを凰神偉がねぎらう。
「それで、どうだった?」
燐瑛珂は「はい!」と姿勢を立て直すと筆をとる。
「黒炎山はかつて、『顱擡山』という名だったそうです」
鸞快子の書き込んだ地図の、黒炎山の場所に燐瑛珂は書き込んだ。
その様子を鸞快子はじっと見つめている。
「『龍の顱が擡げる山』……そうか、睡龍の頭は黒炎山にあったのか……」
鸞快子から紡がれたその言葉。
よもや眠れる龍の頭がその場所にあるなど、誰も思いはしなかったのだ。
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