08:五趣生死情侣们(恋人たち)

41/85
前へ
/1358ページ
次へ
 凰黎(ホワンリィ)の呼びかけに応じ、煬鳳(ヤンフォン)たちは食事が用意されている隣の部屋へと移動する。そこにはいつの間に戻ってきたのか凰神偉(ホワンシェンウェイ)も立っていて、煬鳳(ヤンフォン)たちがやってくるのを待っていた。  意外なことに、凰神偉(ホワンシェンウェイ)凰黎(ホワンリィ)より先に煬鳳(ヤンフォン)に向かって歩み寄る。恐らく彩鉱門(さいこうもん)のことであろうと煬鳳(ヤンフォン)が気を引き締めると「そう気を張ることはない」と諭された。 「彩鉱門(さいこうもん)には既に報せてある。既にみな荷物を纏め下山を始めているようであったが、くれぐれも気を付けると言っていた」  みなが既に行動を起こしていることを知り、煬鳳(ヤンフォン)は心からの安堵の息をつく。皆と話しているときも、ずっと彩藍方(ツァイランファン)彩鉱門(さいこうもん)のことが気がかりで仕方なかったのだ。 「そっか……有り難うございます。宮主(ぐうしゅ)殿」 「それから――彩二公子から伝言だ。兄弟子はすぐに手当てをした上で安全な場所に運ばせた。自分たちは清林峰(せいりんほう)にいったん身を寄せることになったので安心して欲しい。……だそうだ」  随分長い伝言だと思ったが、間違えずに伝える凰神偉(ホワンシェンウェイ)は凄い。さすがは凰黎(ホワンリィ)の兄だなと妙に感心してしまう。思わず口の端が笑いかけて慌てて煬鳳(ヤンフォン)は咳ばらいをした。 「ごほん。宮主(ぐうしゅ)さま、重ね重ね、有り難うございます」
/1358ページ

最初のコメントを投稿しよう!

109人が本棚に入れています
本棚に追加