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凰黎の呼びかけに応じ、煬鳳たちは食事が用意されている隣の部屋へと移動する。そこにはいつの間に戻ってきたのか凰神偉も立っていて、煬鳳たちがやってくるのを待っていた。
意外なことに、凰神偉は凰黎より先に煬鳳に向かって歩み寄る。恐らく彩鉱門のことであろうと煬鳳が気を引き締めると「そう気を張ることはない」と諭された。
「彩鉱門には既に報せてある。既にみな荷物を纏め下山を始めているようであったが、くれぐれも気を付けると言っていた」
みなが既に行動を起こしていることを知り、煬鳳は心からの安堵の息をつく。皆と話しているときも、ずっと彩藍方や彩鉱門のことが気がかりで仕方なかったのだ。
「そっか……有り難うございます。宮主殿」
「それから――彩二公子から伝言だ。兄弟子はすぐに手当てをした上で安全な場所に運ばせた。自分たちは清林峰にいったん身を寄せることになったので安心して欲しい。……だそうだ」
随分長い伝言だと思ったが、間違えずに伝える凰神偉は凄い。さすがは凰黎の兄だなと妙に感心してしまう。思わず口の端が笑いかけて慌てて煬鳳は咳ばらいをした。
「ごほん。宮主さま、重ね重ね、有り難うございます」
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