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「……でも、三人だけで? しかも一人は子供なのに? しかも、言い出しっぺの鸞快子はなんで行かないんだ?」
「それは……私がお願いしました。……万に一つ煬鳳になにかあったとき、対処できるのは鸞快子だけです。ましてや何者かの介入があったとなればなおのこと」
それを言われると、煬鳳はそれ以上なにも言えなくなってしまう。鸞快子を恒凰宮に残し、小黄と共に行かなかったことに文句を言いたかったのだが、凰黎は煬鳳のことを心配して鸞快子を恒凰宮に残して貰ったのだから。
責任感の強い凰黎のことだ。普段の彼ならば、煬鳳のことは自分に任せて小黄についてくれと鸞快子に言っていただろう。
「気持ちは分かるが、恒凰宮と翳冥宮の宮主二人が一緒なのだから、心配は無用だ。翳白暗の体は仙界の仙果から造られたと言っていた。恐らく人間であった頃よりも自由に力が使えるはずだ。……そして万に一つ、小黄になにかあったとしても、絶対に彼らに危害を加えさせたりはしない」
「そりゃ、もちろんだけど。でも、なんで鸞快子はそう言い切れるんだ?」
鸞快子は不敵に微笑むと、煬鳳の向こう側に向かって指を差す。
「?」
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