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「ちょっと! 軽々とそんなこと言われても困る! 眠れる龍とは言うけど、相手は三百年前にこの地を滅ぼしかけた火龍なんだぞ!? ちょっとやそっとの龍ならいざ知らず、三州に跨がるほど巨大な龍を、一体どうやって倒せるっていうんだ!?」
「誰も一人で倒せ、などとは言っていないだろう。睡龍に危機が訪れたときの防衛手段として五行盟が発足したのだから、このようなときこそ彼らの力を借りるのが筋というものだ」
確かに鸞快子の言うことは正しい。
正しいのだが……、煬鳳としては一抹の不安が拭えない。
「だって、五行盟は俺のことを良く思ってないんだぞ。力なんか貸してくれるのか?」
鸞快子は笑う。
「別に彼らが君を助けるつもりなど無くても構わないことだろう? 睡龍の問題はこの大地全体の問題であるわけだし、放っておいたら困るのはこの地に住まう者全員だ。人々を守ることのできない五行盟に存在の価値などないし、事情を知れば彼らとて立ち上がらざるを得ないだろう」
「鸞快子が言っているのは、つまり煬鳳の問題に絡めるわけではなく『これまでの異常な現象は睡龍の仕業であり、まさにいま睡龍が目覚めようとしている』ことを押し出して五行盟の協力を取り付けるということです」
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