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「凰黎の言う通りだ。君たちの体のことを解決するためには睡龍を再び眠りにつかせることは必須だが、だからといって一人で戦う必要はない。うまく立ち回って解決のための協力を引き出すんだ」
畳みかけるような凰黎と、それに乗っかる鸞快子。二人の息はぴったりで、凰黎が幼い頃より蓬静嶺で客卿として滞在していただけのことはあると感心してしまう。
それにしても、それにしてもだ。
「なんかそれ、凄くずるい言い方じゃないか?」
自分たちの本来の目的を隠したまま、別の理由で協力を仰ぐ。確かに合理的ではあるが、なんだか釈然としない。
しかし鸞快子は「どこが?」とばかりの顔で言葉をつづけた。
「どのみち火龍が目覚めたらこの地は終わりだ。この地だけではなく九州全体にも及ぶだろう。だからこそ国師は危険を冒して睡龍に来ようとしているのだから」
「なるほど……」
「協力し合うのは悪いことではない。目的が同じならなおのこと協力しない手はないだろう?」
「う、うん……」
鸞快子の勢いに半ば飲み込めまれながら煬鳳は頷く。鸞快子の言うことは実にもっともだ。少しばかりずるいとは思ったが、どちらにしても睡龍の地に住まう者にとって、危機的状況であることに変わりはないのだ。
そして、もしも龍が目覚めたら、少なくとも睡龍と呼ばれる三州だけに飽き足らず九州全体が終わりを迎えることだろう。
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