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「分かった。……五行盟に相談に行こう」
「それが良い、私も一緒に口添えをしよう」
鸞快子は頷く。
「じゃあ善は急げってことで……凰黎、俺の剣と服はどこ?」
中衣のままの煬鳳は己の衣袍と永覇の在り処を探す。
「貴方の服はいま外に干してありますが……まさかいまから五行盟に戻るつもりではないですよね?」
刺すような凰黎の一言に、煬鳳はぎくりと体を固くする。
「そ、そのつもりだったけど……駄目だったか?」
「駄目に決まってます!」
ばん、と被褥の上に凰黎の手が叩きつけられた。さして強くもない力ではあるが、それでも鬼気迫る勢いだったので煬鳳は怯んだ。
「貴方はまだ本調子ではないのですよ。昨晩から昼過ぎまでぐっすり眠っていたんですから。彩鉱門の件も兄上が一番早い方法で対応して下さったのです。ここは私の顔を立てて、今日一日は恒凰宮で休んで下さい」
煬鳳はそれでも『でも』と言いかけたが、言おうとした言葉はまたも凰黎の誠意を無駄にしてしまうことに気づいた。
煬鳳が眠っている間あれほど心配してくれた叔父と凰黎。そして昨日も先ほども、煬鳳のためにずっと付き添ってくれた凰黎に対して、己の言動の浅はかさを嫌というほど思い知り反省したはずなのにまた同じことを繰り返そうとしていることに。
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