08:五趣生死情侣们(恋人たち)

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 ――俺ってなんて馬鹿なんだろう。  いつも目先のことばかり考えて、自分を心配してくれている人のことをないがしろにしてしまう。あとから気づいてばかりの己の思慮のなさに煬鳳(ヤンフォン)は溜め息をついた。 「煬鳳(ヤンフォン)……?」  不安そうな凰黎(ホワンリィ)の声。 「いや。……凰黎(ホワンリィ)の言う通りだ。火龍のことは心配だけど、半日ぶん焦ってどうなるものでもないよな。万全を期すためにも、今日はここでゆっくり休ませてもらうよ」  煬鳳(ヤンフォン)が笑いかけると緊張した凰黎(ホワンリィ)の表情がたちどころに和らいだ。 「でもいくら休むって言っても、寝てばかりじゃ体が痛いよ。それに稀飯だけだと物足りないかな。朝餉も食べてなかったしさ」 「ふふ。良かった、お腹が空くのは元気な証拠ですね。……分かりました、食べやすいものをあとで持ってきて貰いましょう」 「うん!」  元気よく煬鳳(ヤンフォン)は頷き、そして寝台から足を降ろす。すぐさま凰黎(ホワンリィ)が手を取って支えてくれたのだが「無理はいけませんよ?」と念を押されてしまった。 「大丈夫。少し中庭に出たいんだけど、駄目?」 「そうですね……」  凰黎(ホワンリィ)は柔らかく微笑むと煬鳳(ヤンフォン)の背に手を回す。 「日の光を浴びることも大切です。少し散歩に出ましょうか」 「うん!」  もう一度煬鳳(ヤンフォン)が元気よく頷くと、背後でなにか主張したげな気配がする。煬鳳(ヤンフォン)はそれがなにを意味するのかをすぐに理解して振り返った。
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