08:五趣生死情侣们(恋人たち)

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 鏡に映した頸根(くびね)の痣は鮮明に残ってはいるが、煬鳳(ヤンフォン)がいくら霊力を使おうとも燃えるような熱を帯びることはなくなった。 (嘘みたいだ……)  しかし、それが嘘ではないということも分かっている。何より、黒曜(ヘイヨウ)の尻尾が煬鳳(ヤンフォン)の首から繋がっていないことが何よりの証し。  ただ、切り離されたとはいっても完全ではなく、煬鳳(ヤンフォン)から離れられる距離は前とさほど変わりはないらしい。 『クェ』  外を飛んでいた黒曜(ヘイヨウ)が戻ってきたようだ。煬鳳(ヤンフォン)が格子戸を開けてやると、翼を広げた黒曜(ヘイヨウ)が窓枠にちょんと留まる。 「気分はどうだ?」 『悪くないな。煬鳳(ヤンフォン)、ちょっと霊力を上昇させてみてくれないか。それで、余剰分を俺に送って欲しいんだ』 「やってみる。……こうか?」  煬鳳(ヤンフォン)は丹田に力を込め己の体の霊力を高める。今までならば、霊力の上昇と共に体温も上昇していたはずだ。けれど、一定まで霊力が上がったあとは体への負担もかかることなく黒曜(ヘイヨウ)の体に霊力が流れてゆくのを感じる。 『お、来てる来てる』  今までなら首の痣から黒曜(ヘイヨウ)へと繋がっている尾を通して霊力が融通されていた。それが、見た目は黒曜(ヘイヨウ)煬鳳(ヤンフォン)の繋がりは完全に切れているにもかかわらず、自然に煬鳳(ヤンフォン)の体の霊力が黒曜(ヘイヨウ)に融通されているのだ。
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