08:五趣生死情侣们(恋人たち)

55/85
前へ
/1358ページ
次へ
『上手く行ったな。さすがは鸞快子(らんかいし)と、それに万晶鉱(ばんしょうこう)の力だ。これなら俺もお前も、体への負担なく戦うことができる』 「信じてはいたけど、改めて目の当たりにすると感慨深いな。あれだけ苦労してたっていうのに本当に体が楽になった」 『ああ、本当だな。これからは散歩も気楽にできそうだ』  黒曜(ヘイヨウ)も上機嫌だ。今までなにをするにしても尾の部分が煬鳳(ヤンフォン)とくっついていたため、外に出ているときも最大限注意を払わねばならなかった。それが無くなった今、黒曜(ヘイヨウ)は自由に煬鳳(ヤンフォン)の体から出入りすることができるし、気ままに街中を飛び回っても怪しまれることもない。煬鳳(ヤンフォン)と繋がっていた部分を隠す必要もないのだから。 「そっか。良かったな、黒曜(ヘイヨウ)」 『……どうした? せっかく念願叶って体温を気にせず霊力を使えるようになったっていうのに、なんだか浮かない顔をしているな』  煬鳳(ヤンフォン)の反応が思ったより芳しくなかったからか、黒曜(ヘイヨウ)が訝し気に煬鳳(ヤンフォン)を覗き込む。煬鳳(ヤンフォン)はそう気取らせない態度をとったつもりだったのだが、赤子のときからの付き合いである黒曜(ヘイヨウ)にそれを隠し通すのは難しいらしい。 「浮かない……ってわけじゃないんだけど、さ。色々気になっちまって」  実は、あの夢を見たからか、凰黎(ホワンリィ)のことがとても心配になってしまった。それに、昨晩凰黎(ホワンリィ)から聞いた話のことも。
/1358ページ

最初のコメントを投稿しよう!

109人が本棚に入れています
本棚に追加