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『上手く行ったな。さすがは鸞快子と、それに万晶鉱の力だ。これなら俺もお前も、体への負担なく戦うことができる』
「信じてはいたけど、改めて目の当たりにすると感慨深いな。あれだけ苦労してたっていうのに本当に体が楽になった」
『ああ、本当だな。これからは散歩も気楽にできそうだ』
黒曜も上機嫌だ。今までなにをするにしても尾の部分が煬鳳とくっついていたため、外に出ているときも最大限注意を払わねばならなかった。それが無くなった今、黒曜は自由に煬鳳の体から出入りすることができるし、気ままに街中を飛び回っても怪しまれることもない。煬鳳と繋がっていた部分を隠す必要もないのだから。
「そっか。良かったな、黒曜」
『……どうした? せっかく念願叶って体温を気にせず霊力を使えるようになったっていうのに、なんだか浮かない顔をしているな』
煬鳳の反応が思ったより芳しくなかったからか、黒曜が訝し気に煬鳳を覗き込む。煬鳳はそう気取らせない態度をとったつもりだったのだが、赤子のときからの付き合いである黒曜にそれを隠し通すのは難しいらしい。
「浮かない……ってわけじゃないんだけど、さ。色々気になっちまって」
実は、あの夢を見たからか、凰黎のことがとても心配になってしまった。それに、昨晩凰黎から聞いた話のことも。
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