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煬鳳が抱えていた問題は、確かに煬鳳の命に直結している重大な問題であったが、凰黎の問題はとても面倒で複雑な、彼が生きている限り一生背負わねばならないような重い問題だった。
それに加えて――あの夢。
泣きながら煬鳳の名を呼んだ凰黎の姿。
小黄は夢だから平気だと言っていた。
けれど、あれが――例えば、凰黎の心を現すようなものであったら?
凰黎のこれからの運命を暗示するようなものだったとしたら?
煬鳳にできることは、何かないのだろうか。
今まで支えてくれたぶん、煬鳳にも凰黎のために何かしてあげられることはないのだろうか。
そんなことを考えていると、なんだか気分がすっきりとしなかったのだ。
「どうした?」
凰黎が戻ってきたのかと思って振り向けば、そこにいたのは鸞快子だった。
彼は干してあった煬鳳の袍服を運んできてくれたらしい。沐浴の準備よりは簡単であるため、彼の方が戻りが早かったのだろう。
「どうっていうか……。これからのことが色々気になってさ」
煬鳳は寝台に乗せた被褥の上に勢いよく腰を下ろす。そんな煬鳳に苦笑しながら、鸞快子は綺麗に畳んだ袍服を寝台脇の机案に載せ、自らも煬鳳の隣に腰掛けた。
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