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「せっかく霊力も自由に使えるようになったというのに。そのような顔をしていては凰黎が悲しい顔をしてしまうぞ」
「うっ……嫌なこというなよ。分かってるって。……なあ。鸞快子はどうして俺たちと一緒に五行盟に行ってくれるんだ? 睡龍のことは確かに大変な事態だけど、下手したら命に係わるかもしれないんだぞ? きっと、五行盟に助けを求めたって逃げ出す奴だっているだろ。あんたは五行盟の手伝いをしているから、もし一緒に行ったら逃げ出すこともできないんじゃないか?」
煬鳳が心配そうに言うと、鸞快子は口元をわずかに緩める。
「心配をしてくれているのか?」
「そりゃ心配だよ。鸞快子は今までだって俺たちのことを沢山助けてくれたんだ。でも、命まで懸けることはないだろ?」
仮面で隠れた鸞快子の瞳がふと緩んだのを煬鳳は見た。彼の素顔を見ることはできないが、優しい慈愛に満ちた瞳だ。
「心配は有り難いが、それは難しい相談だ。私は既に睡龍の外にいる国師と話をした身であり、国師が来たら彼に説明をする義務がある」
「責任感が強いんだな」
「睡龍は国ではないが、危機的な状況の今こそ一丸とならなければこの地を守ることはできない。そうしなければ、仮に睡龍の危機を逃れたあともこの地は外部からの侵略に怯えることになるだろう」
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