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谷を開くための封印自体は、凰神偉と翳黒明の二人でなければ開くことは不可能だと言うが、彼らがそれを知ってしまったらどうなってしまうだろう。
「原始の谷に行った小黄たちは大丈夫かな」
「心配することはないだろう。だからこそ、煬鳳の陸叔公もいるのだから」
「はは、確かに」
魔界の皇帝がついていれば、怖いものはない。
(それに、黒明が黒冥翳魔であると分かれば、奴らもそう無茶なことはしないだろうけど……)
丸くなったとはいえ、黒冥翳魔といえば睡龍ではそれなりに知られた悪党の名ではある。
「なあ。もしも仮に……過去や未来を知ることができたら、みんなどうすると思う?」
「それは――万晶鉱のことを言っているのか?」
「っ……!」
万晶鉱のことには触れず、それとなく尋ねたつもりだったのだが、すぐさま鸞快子に言い当てられて煬鳳は二の句が継げなくなった。
しかし、鸞快子の実力や知識の豊富さを目の当たりにしてきたいま、『知っている』と言われても何ら不思議なことはない。
「えっと……。鸞快子は、その。万晶鉱のこと、どこまで知ってるんだ?」
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